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軽減税率とイートイン:8%と10%の線引きを国税庁Q&Aで整理

執筆者 Ludovic Frank 公開日 読了時間 1 分
弁当を持ち帰るお客と店内の小さなテーブルで同じ弁当を食べるお客の間で微笑むレジ係のイラスト

同じ弁当が、袋に入れて渡せば消費税8%、店内のテーブルで食べてもらえば10%。2019年10月に軽減税率が始まって以来、テイクアウトを併設する飲食店のレジには、この「イートイン判定」がずっとついて回っています。

線引きを間違えると、レシートの税率も申告も間違うことになります。この記事では、国税庁の軽減税率Q&A(個別事例編、令和5年10月改訂版)をもとに、8%と10%の境界線と実務での判定方法を整理します。あわせて、2027年4月から食品の税率を1%に引き下げるという政府案が外食に何を意味するのかも見ておきます。

なお、テイクアウトと店内飲食、さらにネット予約と電話予約が混在するお店ほど、業務のルールを一度決めて仕組みに任せるのが有効です。予約まわりを無料で一元管理できる予約システムと同じで、レジの判定ルールも「決めて、掲示して、運用する」が基本です。

基本ルール:店内飲食は10%、テイクアウトは8%

軽減税率(8%)の対象は「酒類・外食を除く飲食料品」です。飲食店にとっての整理はシンプルです。

  • 店内飲食(外食)=10%:テーブル、椅子、カウンターなどの「飲食設備」がある場所で、飲食させるサービスとして提供するもの。予約席での食事も当然こちらです。
  • テイクアウト(持ち帰り)=8%:持ち帰り用の容器や包装で「飲食料品の譲渡」として販売するもの。
  • 出前・デリバリー=8%:料理を届けるだけなら飲食料品の譲渡です。
  • ケータリング・出張調理=10%:現地で調理・給仕などのサービスを伴うものは外食扱いです。
  • 酒類=常に10%:店内でも持ち帰りでも軽減税率の対象外です。

ポイントは「何を売るか」ではなく「どう提供するか」。同じ商品でも提供のしかたで税率が変わります。

イートイン判定は「購入時の意思確認」で行う

持ち帰りも店内飲食もできる商品は、どちらの税率になるかを販売した時点で判定します。国税庁Q&Aが示す方法が「意思確認」です。

  • レジで「店内でお召し上がりですか、お持ち帰りですか」と一言確認する。
  • 持ち帰りが大半のお店では、全員に質問する必要はなく、「イートインコーナーを利用する場合はお申し出ください」といった掲示で意思確認に代えることが認められています(Q&A問52)。

注意したいのは、お客様が「持ち帰り」と答えて8%で購入した後に気が変わって店内で食べても、販売時点の判定が有効で、さかのぼって10%を追加徴収する義務はないという点です。判定はあくまで販売時の意思確認に基づきます。

紛らわしいケース:国税庁Q&Aの実例から

テラス席やベンチは「飲食設備」になる?

飲食設備は「テーブル、椅子、カウンターその他の飲食に用いられる設備」で、規模や目的を問いません。店先のテラス席や休憩ベンチでも、お客様に使わせていれば飲食設備に当たり、そこで食べさせれば10%です。逆に「飲食はお控えください」と掲示して実際に飲食させていないスペースは、飲食設備に該当しません(問53・問55)。

屋台やキッチンカーは?

自分でテーブルや椅子を設置している場合、または近くの設備を使わせてもらう合意がある場合は10%。**設備が何もない、あるいは公園の公共ベンチのように誰でも自由に使える場所しかない場合は8%**です(問51)。

食べ残しの持ち帰り(折り詰め)は8%になる?

なりません。店内で食べるために提供した料理は、その時点で「食事の提供」=10%が確定しており、残りを折り詰めにして持ち帰っても税率は変わりません(問59)。食品ロス対策で持ち帰り(mottECO)を勧めるお店も、税率の扱いはそのままでよいということです。

セット商品の一部だけ店内で飲食する場合は?

ハンバーガーとドリンクのセットのように一つの商品として販売するものは、「ドリンクだけ店内で飲む」と言われても**セット全体が食事の提供=10%**になります(問60)。単品で分けて売れば、持ち帰るものは8%、店内で飲むものは10%と分かれます。

価格表示とレジの実務

  • 総額表示が義務です。消費者向けの価格表示は税込金額で行います(国税庁:総額表示の義務付け)。
  • 店内10%・持ち帰り8%の店では、(1)税込価格を2本立てで表示する、(2)税込の統一価格にして本体価格を調整する、の2つの実務があります。統一価格は「どちらでも同じ値段」と案内でき、レジも接客もシンプルになります。
  • レジと請求書は税率ごとの区分が必要です。インボイス(適格請求書)でも8%と10%を区分して記載するため、レジ設定と申告用の集計は税率別に整えておきましょう。

2027年4月からの「食品1%」で外食はどうなる?

2026年8月5日に基本方針が、9月15日に制度の詳細をまとめた大綱が閣議決定され、軽減税率の対象品目(酒類・外食を除く飲食料品)の税率を2027年4月1日から2029年3月31日までの2年間、8%から1%に引き下げる方針が示されました(日本経済新聞の報道)。

飲食店として押さえるべきポイントは2つです。

  1. 外食(店内飲食)と酒類は10%のまま。引き下げの対象になるのはテイクアウト・出前など、いまの8%部分だけです。
  2. 実現すれば、店内飲食とテイクアウトの税率差は現在の2ポイントから9ポイントに広がります。テイクアウト併設店では価格表示の見直しが必要になり、持ち帰り需要が相対的に強まる可能性もあります。

ただし、関連法案は2026年秋の臨時国会に提出される予定で、2026年9月時点では閣議決定済み・法案成立前の段階です。実施内容や経過措置は法案成立後に国税庁の案内で必ず確認してください。

よくある質問

出前やデリバリーはなぜ8%なのですか?

料理を届けるだけの出前は「飲食料品の譲渡」に当たるためです。一方、現地で盛り付けや給仕まで行うケータリングはサービスの提供として10%になります。

意思確認は毎回口頭でしないといけませんか?

いいえ。持ち帰り中心のお店では「イートインをご利用の場合はお申し出ください」といった掲示による意思確認が認められています。店内飲食が中心のお店では、レジでの一言確認を標準にするのが確実です。

テラス席で食べてもらう場合は8%ですか?

10%です。テラス席もテーブルや椅子がある以上「飲食設備」に当たり、そこで飲食させれば店内飲食と同じ扱いになります。

食品の税率が1%になったら、店内の食事も安くなりますか?

なりません。閣議決定された案では外食と酒類は対象外で、10%のままです。対象はテイクアウトや出前など、現在8%が適用されている部分だけです(法案成立前の情報のため、最終的な制度は成立後にご確認ください)。

予約のキャンセル料にも消費税はかかりますか?

損害賠償として受け取るキャンセル料は原則として消費税の課税対象外です。詳しくはキャンセル料の法的根拠と請求方法の記事で、国税庁タックスアンサーの扱いも含めて解説しています。

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