飲食店のキャンセルポリシーの書き方:そのまま使える例文つき
予約席が空いたまま営業が終わる。仕込んだコース料理が丸ごと無駄になる。無断キャンセル(ノーショー)やドタキャンの損失は、キャンセルポリシーを予約時に提示していたかどうかで大きく変わります。ポリシーがなければキャンセル料は事実上請求できず、あれば請求の根拠になり、何よりお客様への抑止力になります。
この記事では、キャンセル料をいくらに設定できるかという法律の考え方から、そのまま使える例文、掲載場所、日々の運用までを順番に解説します。ポリシーの提示は仕組みで自動化するのが確実で、無料で使える飲食店向け予約システムなら予約画面と確認メールに毎回もれなく表示できます。
キャンセルポリシーとは?なぜ必要か
キャンセルポリシーは、「いつまでのキャンセルなら無料か」「それを過ぎたらいくらかかるか」「連絡方法は何か」をあらかじめ決めて、予約時にお客様へ提示するルールです。
法律上のポイントは1つ。予約は「席と料理を用意する」という店とお客様の契約であり、キャンセル料はその契約の一部です。予約の前、遅くとも予約の時点で提示していなければ、後から請求する根拠になりません。予約完了後のメールで初めて知らせるだけでは不十分とされるので、予約ページ・グルメサイトの店舗ページ・電話予約時の口頭説明など、予約が成立する場面での提示が基本です。実際に請求する段になったときの手順(任意の請求から少額訴訟まで)はキャンセル料の請求方法の記事にまとめています。
キャンセル料はいくらに設定できる?
法律の上限:消費者契約法の「平均的な損害」
キャンセル料の金額に法律で決まった率はありません。ただし消費者契約法9条により、店に生じる「平均的な損害」を超える部分は無効になります。「当日キャンセルは100%」という設定自体は違法ではありませんが、実際の損害(食材の原価、他のお客様を断ったことによる逸失利益など)とかけ離れた金額は、その超えた分が認められない可能性があります。
公的な目安:コースは全額まで、席のみは客単価の5〜7割
経済産業省が関わった2018年の無断キャンセル対策レポートは、キャンセル料の目安をこう整理しています。
- コース予約:コース料金の全額まで(用意した食材を他のお客様に活用できた場合は、その分を差し引く)
- 席のみ予約:平均客単価の5〜7割程度
これは法律ではなく目安ですが、公的な検討会の整理として、金額設定の説明にも交渉にも使える基準です。実際に東京簡易裁判所が2018年、40名・1人3,480円の宴会の無断キャンセルにコース料金全額の139,200円の支払いを命じた例も報道されています。
実務の相場:段階制が主流
多くの店は「3日前から30%、前日50%、当日・無連絡100%」のような段階制にしています(法律上の決まりではなく、あくまで実務の相場です)。段階制には、早めの連絡を促す効果と、金額の合理性を説明しやすいという利点があります。席のみ予約は損害が比較的小さいため、コース予約より軽く設定するか、少人数なら請求しないと決めている店も少なくありません。
ポリシーに入れる項目チェックリスト
- 無料でキャンセルできる期限(例:前日の18時まで)
- キャンセル料の金額と起算点(何日前から何%か、コース・席のみで分ける)
- 人数変更の扱い(減った人数分にも同じ率を適用するか)
- 無断キャンセル(連絡なし)の扱いと、遅刻時の自動キャンセル(例:予約時間から15分)
- キャンセルの連絡方法(電話・予約ページ・LINEなど、複数用意する)
- 悪天候・体調不良など、店側の裁量で免除する場合がある旨(任意)
そのまま使える例文テンプレート
自店の営業時間・単価に合わせて数字を調整してください。
基本テンプレート(席のみ・コース共通)
【キャンセルについて】 ご予約のキャンセル・人数変更は、前日の18時までにご連絡ください。 それ以降は下記のキャンセル料を申し受けます。 ・前日18時以降:お席のみのご予約はお1人様2,000円、コースご予約はコース料金の50% ・当日および無連絡キャンセル:お席のみのご予約はお1人様3,000円、コースご予約はコース料金の100% ・ご予約時間を15分過ぎてもご連絡がない場合は、キャンセルとさせていただくことがあります。 キャンセルのご連絡は、お電話または予約ページからお願いいたします。
コース予約向けの例文
コース料理は前日から仕込みを行うため、前日以降のキャンセル・人数減にはコース料金の50%、当日および無連絡の場合は100%を申し受けます。日程変更のご相談は、お早めにいただければ柔軟に対応いたします。
宴会・団体予約向けの例文
10名様以上のご宴会は、3日前から人数減1名につきコース料金の30%、前日50%、当日および無連絡の場合は100%を申し受けます。開催日の1週間前までに、最終人数のご確認のお電話を差し上げます。
どこに掲載するか
作ったポリシーは、お客様が予約する場所すべてに置きます。
- 自社の予約ページ:予約確定ボタンの手前に表示するのが最も確実です
- 予約確認メール・リマインドメール:予約時の提示を後から確認できるようにします
- グルメサイトの店舗ページ:食べログ・ぐるなび・ホットペッパーグルメなどの店舗情報欄に同じ文面を記載します
- 電話予約:口頭で期限と金額を伝え、台帳に伝えた旨をメモします
媒体ごとに文面がずれるとトラブルの元になるので、原本を1つ決めて全媒体に同じものを載せるのが鉄則です。
ポリシーは「運用」までがセット
ポリシーを書いて終わりではなく、日々の予約フローに組み込んでこそ機能します。
- 前日リマインド:確認の連絡だけでドタキャンはかなり減ります。ViteUneTableではスタンダードパック(税抜€29/月〜)でリマインドメールを自動送信できます
- カードの仮押さえ:高単価のコースや宴会は、予約時にクレジットカードを仮押さえしておけば、無断キャンセル時にもポリシーに沿った請求ができます(スタンダードパック+ノーショー、税抜€49/月〜)
- 請求の実務:まず丁寧に連絡し、応じてもらえない場合の最終手段としては少額訴訟(60万円以下)という手続きもあります
どのシステムで何ができるかは、飲食店向け予約システムの比較記事にまとめています。
よくある質問
キャンセル料100%は違法ではありませんか?
設定自体は違法ではありません。ただし消費者契約法により、店の「平均的な損害」を超える部分は無効です。コース予約の当日キャンセルなら全額請求が目安として認められる一方、席のみ予約で高額な定額を課すのは合理性を説明しにくくなります。
ポリシーを提示していなかった過去の予約にも請求できますか?
事実上困難です。キャンセル料は予約時に合意した契約条件として初めて機能するため、提示前の予約には民法上の損害賠償を個別に立証する必要があり、現実的ではありません。今日からの予約に向けて、まず提示を始めましょう。
席のみ予約にもキャンセル料を設定すべきですか?
設定しておくことをおすすめします。金額はコースより軽く(目安は平均客単価の5〜7割まで)、少人数は免除するなど柔軟に運用する店が多いです。ルールがあること自体が無断キャンセルの抑止になります。
電話予約のお客様にはどう提示すればいいですか?
予約を受ける際に「前日18時以降のキャンセルはキャンセル料を頂戴しています」と一言添え、台帳に伝えた旨を記録します。ネット予約に誘導できる場合は、ポリシーが画面に明示される分、トラブルはさらに起きにくくなります。
台風や体調不良のキャンセルにも請求すべきですか?
法律上は請求の余地があっても、一律に厳格運用すると口コミへの影響が大きくなります。「店側の判断で免除する場合があります」と一文入れておき、日程変更の提案を優先するのが現実的です。
キャンセルポリシーだけで無断キャンセルは防げますか?
ポリシーは土台で、それだけでは完全には防げません。前日リマインド、カードの仮押さえ、事前決済といった仕組みと組み合わせることで、経済産業省のレポートで年間約2,000億円(2018年推計)とされた無断キャンセル損失を、自店ではほぼゼロに近づけられます。
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