店舗運営 原価率 FLコスト 経営改善

飲食店の原価率とFLコストの目安:計算方法と改善策

執筆者 Ludovic Frank 公開日 読了時間 1 分
調理台の片側に新鮮な食材、もう片側に電卓とノートを置いて話し合うシェフとオーナー

食材費も人件費も上がり続けるいま、「なんとなく儲かっていない」を数字で説明できるかどうかが、飲食店経営の分かれ目になっています。その中心にあるのが、原価率とFLコストという2つの指標です。

この記事では、原価率とFLコストの計算方法、公的データにもとづく現実的な目安、そしてFとLを無理なく下げる改善策を順番に整理します。予約管理のような周辺業務は無料プランのある飲食店向け予約システムで効率化しつつ、数字の管理は自店の手に取り戻しましょう。

原価率とFLコストとは

FLコストの「F」はFood(食材費)、「L」はLabor(人件費)です。この2つは飲食店の二大コストで、合計をFLコスト、売上高に対する割合をFL比率と呼びます。

  • 原価率(%)= 食材費 ÷ 売上高 × 100
  • FL比率(%)=(食材費 + 人件費)÷ 売上高 × 100

食材費は「その月に使った分」で見るのがポイントです。仕入額そのままではなく、「期首棚卸高 + 当月仕入高 − 期末棚卸高」で計算すると、在庫のブレに惑わされずに済みます。

目安はFL比率60%以内、では実態は?

業界で広く使われる目安は、原価率30%前後、人件費率30%前後、あわせてFL比率55〜60%以内というものです。この水準に収まっていれば、家賃やその他経費を払っても利益が残りやすい、という経験則です。

ただし、実態はもっと厳しいことを知っておく必要があります。日本政策金融公庫の「小企業の経営指標調査」(2025年度調査、2026年8月公表)によると、一般飲食店の平均は次のとおりです。

指標 平均値 黒字かつ自己資本プラス企業の平均
売上高総利益率(裏返すと原価率) 65.0%(原価率 約35%) 67.8%(約32%)
人件費対売上高比率 32.9% 31.5%
損益分岐点比率 104.5% 95.7%

平均的な小規模飲食店は原価率約35%+人件費率約33%で、FL比率はおよそ68%。損益分岐点比率が100%を超えている、つまり平均では赤字という調査結果です。一方、黒字企業のグループはFとLがそれぞれ1〜3ポイント低く、その小さな差が黒字と赤字を分けています。「60%以内」は現実の平均値ではなく、意識して近づけていく目標値だと考えてください。

原価率の計算と棚卸のやり方

月商300万円のお店で、その月に使った食材が105万円なら、原価率は35%です。ここから管理を始めるなら、次の3つで十分です。

  1. 月1回の棚卸:月末に在庫を数え、「使った分」ベースの原価率を毎月出す
  2. メニュー別の原価表:主要メニューだけでも、1品あたりの食材費を一度計算しておく
  3. 歩留まりの把握:魚や野菜の廃棄部分を含めた「実際に使える量」で原価を見る

数字は完璧でなくて構いません。毎月同じやり方で続けて、変化に気づけることが大切です。

Fを下げる:メニュー設計と食品ロス

原価率は「全品一律で下げる」ものではありません。看板メニューにはあえて原価をかけて集客し、ドリンクやサイドメニューの粗利で全体を整える。この組み合わせの設計がメニューエンジニアリングです。

  • 高原価の看板メニューと高粗利のサイド・ドリンクをセットで注文される導線をつくる
  • 使う食材の種類を絞り、複数メニューで使い回して廃棄を減らす
  • 仕入は相見積もりや規格の見直し(切り身のサイズなど)で単価を下げる

もうひとつの大敵が食品ロスです。特に、コース予約の無断キャンセル(ノーショー)は、仕込んだ食材がまるごと損失になる「純粋なFのロス」です。予約の再確認やキャンセルポリシーの整備は、立派な原価対策でもあります。

Lを最適化する:シフトと予約の見える化

人件費対策というと時給や人数の削減を思い浮かべがちですが、削りすぎはサービス低下と離職につながります。先に手をつけるべきは「無駄のないシフト」です。

鍵になるのは予約データです。曜日別・時間帯別の予約状況が見えれば、忙しい時間に人を厚く、暇な時間に薄くシフトを組めますし、仕込み量も来客予測に合わせられます。紙の台帳からデジタルの予約台帳への移行は、それ自体がL対策の第一歩です。ViteUneTableなら無料プランでネット予約と予約台帳を使えて、手数料0%なので、コストを増やさずに予約の見える化を始められます。

月次の簡単なシミュレーション

数字のイメージをつかむため、月商300万円のお店で考えてみます(あくまで説明用の例です)。

項目 改善前 改善後
食材費(F) 105万円(35%) 96万円(32%)
人件費(L) 99万円(33%) 90万円(30%)
FL比率 68% 62%

FとLをそれぞれ3ポイント改善できれば、それだけで月18万円、年間216万円が手元に残る計算です。メニュー1品の原価見直し、廃棄の削減、シフトの1時間単位の調整。小さな積み重ねで届く差です。

よくある質問

FL比率は何%以内が目安ですか?

業界の経験則では55〜60%以内が目安とされています。ただし日本政策金融公庫の調査では一般飲食店の平均はおよそ68%で、目安と実態には差があります。まずは自店の現状を計算し、1〜2ポイントずつ下げる目標を立てるのが現実的です。

原価率30%は必ず守るべきですか?

一律に守る必要はありません。原価率が高くても客単価や回転率で補えていれば利益は出ますし、看板メニューにあえて原価をかける戦略もあります。大切なのは、メニューごとの原価を把握したうえで、お店全体のFL比率で判断することです。

原価率を下げると料理の質が落ちませんか?

品質を落とす削り方(食材のグレードを下げる、量を減らす)は客離れを招きやすく、おすすめできません。先に取り組むべきは、廃棄の削減、食材の使い回し設計、仕入条件の見直し、そして適正な値付けです。値上げも品質を守るための正当な選択肢です。

人件費はどこまで削れますか?

営業が回らなくなるまで削るのは本末転倒です。狙うべきは「時間あたりの無駄」で、予約データにもとづくシフト調整や、予約受付・確認業務の自動化など、仕組みで浮かせられる時間から手をつけるのが安全です。

FLRコストとは何ですか?

FLコストに家賃(Rent)を加えた指標です。FLR比率は売上高の70%以内が目安とされる経験則があります。家賃は開業後に変えにくいため、物件契約の段階でFLRを意識しておくことが重要です。

あわせて読みたい

← ブログに戻る