店舗運営 食品ロス 店舗運営 原価率

飲食店の食品ロス削減:持ち帰りガイドラインと現場の実践策

執筆者 Ludovic Frank 公開日 読了時間 1 分
整頓された厨房で食材を計量しながら容器に小分けする料理人と、奥で持ち帰り用の箱を受け取る笑顔のお客様

食品ロスの削減は、環境のためだけの話ではありません。捨てた食材は、仕入れに使ったお金をそのまま捨てているのと同じです。農林水産省と環境省の推計では、令和6年度の日本の食品ロスは約461万トン。このうち事業系は約237万トンで、外食産業からは約70万トンが発生しています(農林水産省の令和6年度推計)。

国全体では削減が進んでいますが、外食は「作ってから売る」商売である以上、1店舗ごとの工夫がそのまま数字に表れます。この記事では、飲食店の食品ロスがどこで生まれるのかを整理し、予約データの活用から持ち帰り対応まで、現場でできる実践策をまとめます。仕込みの精度を上げる第一歩として、無料で使える予約管理の仕組みを整えておくと、この後に紹介する対策のほとんどが実行しやすくなります。

飲食店の食品ロスはどこで生まれるか

現場のロスは、大きく3つに分けて考えると対策が立てやすくなります。

  • 仕込みすぎ:来客予測が外れて仕込んだ食材が余る。廃棄になるか、翌日への持ち越しで品質が落ちる
  • 食べ残し:宴会コースの終盤や大皿料理で特に発生しやすい
  • 予約のキャンセル:コースを仕込んだ後の無断キャンセルは、食材ロスと売上ロスが同時に発生する最悪のパターン

3つ目は見落とされがちですが、対策の効果が最も大きい領域です。詳しくは無断キャンセル対策の記事で解説しています。

予約データで仕込みの精度を上げる

食品ロス削減の出発点は、「何人来るか」をできるだけ正確に知ることです。

  • コース予約は事前確定分だけ仕込む:席のみ予約と分けて管理すれば、コースの仕込み数は予約数とほぼ一致させられます
  • 曜日・時期ごとの来客傾向を記録する:予約台帳に蓄積されたデータを見返せば、「雨の火曜は2割減る」といった自店の傾向がつかめます。紙の台帳からの移行は予約台帳のデジタル化の記事にまとめました
  • 人数確定日を決める:宴会・団体は前々日までに人数を確定してもらうルールにすれば、仕込みのブレが減ります

ViteUneTableの無料プランなら、ネット予約と電話予約を1つの予約台帳にまとめて、コース・人数付きで一覧できます。手数料0%なので、予約が増えてもコストは増えません。

食べ残しの持ち帰りはガイドラインに沿って

2024年12月25日、消費者庁と厚生労働省が「食べ残し持ち帰り促進ガイドライン」を策定しました。飲食店での持ち帰りに関する初めての公式指針で、ポイントは次のとおりです。

  • 基本は「食べきれる量を注文して食べきる」こと。持ち帰りはあくまで補完的な位置づけ
  • 持ち帰りは消費者の自己判断・自己責任が前提。店側はその旨を伝えたうえで協力する
  • 十分に加熱され水分の少ない料理が向いており、生ものや半生の料理は避ける
  • 「早めに食べきってください」「持ち帰り後は冷蔵し、食べる前に再加熱を」といった声かけを添える

環境省は持ち帰りの実践に「mottECO(モッテコ)」という愛称をつけて普及を進めています。「持ち帰りは禁止されている」と思い込んでいるお客様も多いので、対応できる料理については店側から一言案内するだけでも、食べ残しの廃棄は目に見えて減ります。

小盛り設定とメニュー設計でロスを出さない

  • 小盛り・ハーフサイズの選択肢を用意する:ご飯の量やコースの品数を選べるだけで、食べ残しは減ります。ガイドラインも「食べきれる量の注文」を出発点にしています
  • 慢性的に残る料理を特定する:下げ膳のときに「いつも残る一品」をメモする習慣をつけ、量や構成を見直します
  • ロス削減は原価率の改善:廃棄が減った分はそのまま食材費の圧縮になります。「もったいない」ではなく数字の問題として毎月振り返るのがおすすめです

売り切れない分はフードシェアリングという手も

どうしても余りが出る業態(パン、惣菜、ビュッフェ併設など)では、余剰分を値引きしてアプリ経由で売り切るフードシェアリングという選択肢もあります。国内ではTABETEが代表的なサービスで、自治体との連携協定も広がっています(掲載店舗数は令和6年10月時点で約2,870店舗と紹介されています)。手数料や出品条件はサービスごとに異なるので、導入前に最新の条件を確認してください。

よくある質問

食べ残しの持ち帰りは法律で禁止されているのですか?

いいえ。持ち帰りを禁止する法律はありません。対応するかどうか、どの料理を対象にするかは店側の判断です。2024年12月のガイドラインは、持ち帰りを消費者の自己責任としたうえで、衛生的に行うための指針を示しています。

持ち帰りで食中毒が起きたら店の責任になりますか?

ガイドラインは持ち帰りを消費者の自己判断・自己責任と位置づけています。ただし店側も、向かない料理は断る、保存と再加熱の注意を伝えるといった協力が求められます。心配な場合は対象の料理を加熱済みのものに限定しましょう。

食品ロス削減推進法に罰則はありますか?

ありません。食品ロス削減推進法(2019年施行)は、国民運動として削減を進めるための枠組みを定めた法律で、個々の飲食店への罰則や義務は定めていません。

無断キャンセルで仕込んだコースが無駄になった場合はどうすれば?

キャンセルポリシーを予約時に示していれば、キャンセル料を請求できる場合があります。ただし一番の対策は予防です。前日リマインドとカード情報の登録で、無断キャンセル自体を減らすことができます。

仕込み量はどうやって決めればいいですか?

過去の予約データと実来客数の記録が最良の材料です。コース予約分は確定数で仕込み、フリー客向けは曜日・天候ごとの平均から少なめに設定し、足りない分は当日調整できる品目でカバーするのが基本です。

あわせて読みたい

← ブログに戻る