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飲食店のアレルギー表示:義務の範囲と自主対応の進め方

執筆者 Ludovic Frank 公開日 読了時間 1 分
メニューのアレルゲン一覧を指しながら家族連れに説明するホールスタッフのイラスト

「うちの店、アレルギー表示をしないと違法なのだろうか」。結論から言うと、外食に表示義務はありません。ただし、義務がないことと、対応しなくていいことは別の話です。食物アレルギーのあるお客様にとって、情報のない店は「選べない店」。逆に、きちんと情報を出す店は安心して選ばれ、家族連れやリピーターがつきます。

対応の第一歩は情報を集める入口づくりです。予約時にアレルギー情報を受け取れる無料の予約システムを使えば、来店前にコメント欄で申告してもらえるので、厨房が慌てずに準備できます。

この記事では、法律の整理、2026年4月に変わった特定原材料のリスト、そして無理のない自主対応の進め方をまとめます。

外食にアレルゲン表示の義務はない:法律の整理

食品表示法にもとづくアレルゲン表示の義務は、容器包装された加工食品が対象です。スーパーやコンビニで売られるパッケージ食品には特定原材料の表示が義務付けられていますが、レストランや居酒屋での食事、店頭で対面販売する弁当・惣菜といった外食・中食は表示規制の対象外です。

つまり、メニューにアレルゲンを書いていなくても法律違反ではありません。消費者庁も外食・中食については義務化ではなく、事業者の規模や業態に応じた自主的な情報提供を促す立場をとっています(消費者庁の食物アレルギー表示に関する情報)。

なお、EUなど表示が義務化されている国もあるため、訪日のお客様は「メニューに書いてあるはず」と考えて来店することがあります。この認識のギャップは、後述するインバウンド対応の重要なポイントです。

特定原材料は9品目に:2026年4月の改正

自主的に表示するなら、基準は加工食品と同じ特定原材料に合わせるのが実務的です。2026年4月1日の食品表示基準改正でカシューナッツが追加され、義務表示の特定原材料は9品目になりました。

  • 特定原材料(9品目):えび、かに、くるみ、カシューナッツ、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)
  • 特定原材料に準ずるもの(推奨20品目):アーモンド、ピスタチオ(2026年4月追加)、大豆、鶏肉、豚肉など

くるみは2023年3月、カシューナッツは2026年4月と、木の実類の症例増加を受けてリストは数年ごとに見直されています。加工食品には2028年3月31日までの経過措置がありますが、外食の自主表示に経過措置の縛りはないので、メニュー改定のタイミングで最新の9品目に合わせておくのがおすすめです。

義務がなくても表示すべき3つの理由

  1. お客様の安全。食物アレルギーは症状が重い場合、命に関わります。口頭での「大丈夫ですよ」だけに頼る運用は、聞き間違いや思い込みの事故リスクを抱えます。
  2. 信頼とリピート。アレルギーのある本人だけでなく、その家族・友人・会社のグループごと来店先を決めるケースが多く、「あの店なら安心」という評判は集客資産になります。
  3. インバウンド対応。表示義務のある国から来たお客様には、情報がないこと自体が不安材料です。英語併記のアレルゲン一覧は訪日のお客様への対応の基本装備でもあります。

自主対応の進め方

メニューにアレルゲン一覧を載せる

9品目をアイコンや表(メニュー×アレルゲンのマトリクス)で示すのが定番です。全メニューが難しければ、まず定番メニューとコースから始めましょう。メニューのアレルゲン一覧づくりには、LFAllergenesのような無料ツールを使うと、多言語のアレルゲン表を手軽に用意できます。

厨房の現実を正直に伝える

小さな厨房では、揚げ油や調理器具の共用によるコンタミネーション(意図しない混入)を完全には防げません。「原材料として使用していません」と「混入の可能性をゼロにできます」は別物です。「同じ厨房で〇〇を扱っているため、完全な除去は保証できません」と正直に書くのが、お客様を守り、店も守る書き方です。

スタッフ教育と情報の受け取り方

シフトごとに、アレルギーの質問に答えられる担当者を決めておきましょう。あいまいな回答がいちばん危険です。そして入口として効くのが予約時の申告です。予約フォームのコメント欄に「アレルギーがあればご記入ください」と一言添えるだけで、来店前に情報が届き、仕込みの段階で対応を検討できます。受け取ったアレルギー情報は健康に関わる情報なので、接客目的に限定して丁寧に扱いましょう。来店時には予約確認の流れの中で口頭でも再確認すると確実です。

よくある質問

アレルギー表示をしていない店は違法ですか?

いいえ。食品表示法の表示義務は容器包装された加工食品が対象で、外食・中食は対象外です。ただし消費者庁は自主的な情報提供を推奨しており、お客様の安全と信頼の観点から対応する店が増えています。

特定原材料は何品目ですか?

2026年4月1日から9品目です(えび、かに、くるみ、カシューナッツ、小麦、そば、卵、乳、落花生)。推奨表示の「特定原材料に準ずるもの」は、ピスタチオが加わって20品目です。

「アレルギー対応できます」とメニューに書いてもいいですか?

対応できる範囲を具体的に書くのが安全です。コンタミネーションを防げない厨房で「完全対応」をうたうと、事故時の責任問題にもなりかねません。「使用原材料はお答えできます。完全な除去は保証できません」のように、できることとできないことを分けて書きましょう。

予約時にアレルギー情報を聞くのは失礼になりませんか?

むしろ歓迎されます。アレルギーのあるお客様の多くは、来店前に確認できる店を探しています。予約フォームのコメント欄への任意記入なら、聞かれたくない方に負担もかけません。

口頭での説明だけではだめですか?

法律上は問題ありません。ただし混雑時の口頭対応は聞き間違いのリスクがあり、スタッフによって回答がぶれると危険です。書面(メニューの一覧表)を基本に、口頭で補足する形が安全です。

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